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シジミチョウ科

望郷のチョウ、カラスシジミ

このチョウは子供の頃の記憶では探さなくても沢山いるチョウで、庭にもよく飛んできてマーガレットなんかで吸蜜をしていたものでした。
けれども今では個体数が減っているのか、マーガレットが咲く時期となっても、一向に見かけることがありませんでした。

でもそれにしてはおかしなことがありました。実は幼虫は沢山見かけていたのです。山を徘徊しているとハルニレから降りてきた、または落ちてしまった終齢幼虫が地面や倒木の上を歩き回っていたのです。

「これは蛹化の為か?」を確かめるべく何頭かを持ち帰って飼ってみました。
すると、よく摂食する個体とすぐに蛹化する個体がいたのですが残念ながら全て寄生されていました。

6月初旬 ハルニレの下を徘徊する幼虫

やがてマーガレットの時期も終わり、クサフジやヨツバヒヨドリが咲く頃になると、あちこちでこのチョウの姿が見られるようになりました。
それは子供の頃と全く変わらない光景だったのでした。

7月末
8月初旬

子供の頃には、このチョウがゼフの仲間で無いってことが理解出来ませんでした。
特に翅裏の模様なんかゼフそのものだったからです。
「じゃあ今は?」と問われると「ゼフで無いとしても、むしろその方がが良いくらいだ」と感じています。

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タテハチョウ科

あっ、オオイチだ!

「あっ、オオイチだ!」と焦りまくって駆け寄ったのは、未だエゾシロを観察中の6月中旬の出来事でした。
興奮しながらの撮影です。
何故かと言えばまさか、このチョウに近所で出会うなんて思いもしなかったからでした。

実際、その日はエゾシロチョウの発生木を見にノコノコと歩いて行き、着いた途端の出来事だったのです。
なんか大きな黒っぽいチョウがいて当初はメスグロヒョウモンの♀か、またはミスジチョウかな?などと思っていました。
ところが良く見てみるとなんとオオイチモンジだったというわけです。

6月中旬の撮影。この辺りにしては早い発生です。

オオイチモンジの写真の中では背景が自然ではなくて人工物だというのは、ちょっと珍しいかもしれませんが、その時は普通のタテハ類と同じように建物で吸水行動をしていました。

女史に言わせれば「これでオオイチ撮る為に遠くまで出かける必要は無くなったね」でした。

近くを見てみると大きなドロノキがあり、そこで発生したものと思われましたので「この樹で発生したのだとすれば、この後に♀も発生するかもしれないね」とその後に幾度となく行ってみたのですが、2度とあのお姿を見ることはありませんでした。一体、あの個体は何処で発生したのだろう?そして何処へ行ってしまったのだろう?

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カミキリ類

美しいオオアオカミキリ

オオハナウドの花にカミキリが来ている。しかも2頭。。
けれどそのオオハナウドは背丈が2m以上あって、それを下から見るとカミキリがいるのはわかるのだが黒っぽくしか見えず何カミキリかはさっぱりわからない。

それで意を決して、そのオオハナウドをゆっくりと傾けて見ることにしたのだ。と言っても径が5cmくらいあって傾けられるかどうかわからない。こんな時は補虫網があれば良いのだが手元には小さなデジカメしかない。でも他には手立てがないので、そのシシウドを手前に引っ張ってみた。

すると思い通りに倒れてきて30cmくらい下がったところでカミキリが落ちてきたのだ。その内の1頭は落ちた場所でじっと動かなかったので撮らせてもらった。見ると大型で見事な緑色をしたカミキリであった。お盆の日のことである。

背の高いオオハナウド

もう1頭の方は落ちてすぐに飛び去りそうな気配であったので、すぐに手で捕まえて持ち帰ることにした。同じ種のようであったが、カミキリが落ち着いてから撮ろうと言うわけである。それで帰ってからすぐに飼育ビンに入れたのだ。

ところが翌日になっても一向に落ち着かない。ビンの中でシャカシャカと動いている。余り長く入れておくと弱ってしまうかもしれないのでリリースすることにした。

雨の日であったが蓋を開けた途端に翅を広げてブ~ンと飛んで行った。

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タテハチョウ科

キベリタテハが羽化った!

とある建物に何者かの蛹がぶら下がっていました。それも1頭ではなくて何頭も。。それに気付いたのは女史の方でした。

「なんかの蛹がいっぱい、あるよ」と女史
「待って、今、行くから。。どれ? あっ、本当だ」とワシ
「ほら、こっちにも。。」と女史
「う~ん、時期といい、大きさも色も、これ全部キベリかもしれないよ」とワシ
「今まで気付かなかったの? 何度もここに一人で来てるじゃない」と女史
それには答えず「全部、キベリだといいな」とワシ

たわわにぶら下がっていた蛹群

8月6日のことで辺りにはシラカバが沢山生えていて又ヤナギもありました。
もし本当にキベリの蛹だとすれば、それは本州で見たヒオドシの人工物にぶら下がっている光景とそっくりだったのです。それで半信半疑ながらも興奮しながらの撮影でした。撮影後にその内の幾つかの蛹は持ち帰りました。何が羽化ってくるのかを確かめたかったのと寄生されている恐れがあるからでした。

それから2日後、蛹は無事に羽化し始めました。やはり想像通りにキベリでした。

羽化液はヒオドシチョウと同様に赤い
8月8日 無事に羽化し終えた個体。

この辺で見られるチョウの中でもキベリの蛹群が見られるとは思いもしませんでした。個体数の割りには食樹が多すぎるからで、又高いところに卵が産み付けられていては、それを見るなんて手も足も出ません。
従い余程、運が良くないと幼虫や蛹などを見ることは出来ないだろうと考えていました。
でも、こうして蛹群を見ることが出来たのは全くもって女史のお陰です。

リリースした個体
数日後に付近で見かけた個体
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蛾類

モモブトスカシバの怪

このガは珍しいのだと私は思い込んでいました。
と言うのは今までに栃木で一度だけしか見たことがなかったからです。
ところが近所の山では沢山の個体が昼間から飛び交っているのが見られました。昼間からと言うのはこの種がもともと昼行性だからなんですが、それにしても沢山の本種が飛び回り吸蜜などを行なっていました。

ところが撮影中に気付いたのですが、何か変なんです。
何が変かと言えばどうも2種が混ざっているような感じなんです。先ずサイズが違っていること。そのサイズが大きいのと小さいのがいて当初は♂♀の違いだろうと思っていたのですが交尾カップルを見てみると、いずれも小さい方同士だったのです。もう一つは色合いです。大きい方は白っぽく見えるのに対して、小さい方は黒っぽいのです。
どう言うことなんだろう?

7月中旬撮影 大きい方の個体
撮影日:同上 小さいもの同士のカップル。
上の2枚の写真では違いが余り良くわからないでしょうが大きさが違うのです。

さてモモブトスカシバの食草はアマチャヅルです。
余り聞いたことがない植物ですが図鑑で調べると「う~む、これがそうなら沢山生えているどころか、アマチャヅルだらけだ」と思わせたのでした。

7月中旬 アマチャヅル
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セセリチョウ科 蝶の不思議

キバネセセリの不思議

6月中旬のことです。
近くの山にはそれこそ夥しい数の何かの幼虫がいました。
一見したところセセリの幼虫に似ているのですが「キバネセセリにしては数が多過ぎるな?」と私は未だ半信半疑でした。
ところがp女史の方は何かの確信があったようで「これ全部、キバネセセリよ、顔つきがセセリじゃん」と言って譲りません。でもその何かの幼虫がキバネセセリだとした場合に食樹であるハリギリにいたわけではありません。そこら辺を、地面の上とか建物の壁や柱とか、その辺に生えている草の上とかを歩き回っていたのです。

近くに大きなハリギリの樹がありましたから「これ全部があそこから落ちてきたって考えるのは無理があるんじゃないかな?」と私は未だ半信半疑のままでした。

ところが後になって「あれは全部、キバネセセリだったんだ!」と考え直させるハメになったのでした。それはその内の2頭を持ち帰って飼育してみたからで、立派なキバネセセリが羽化してきたのでした。

キバネセセリの幼虫。女史がキバネセセリだと確信した理由はその顔つきがセセリそのものだったからでした。

全部キバネセセリだとしたら何故あんなに樹の下を徘徊していたのでしょう?
蛹化の為ばかりでは決してありません。何故なら中には若齢幼虫もいたし、それに持ち帰った幼虫も飼育ビンの中でモリモリと餌を食べたからです。

若齢幼虫

幼虫を観察中には驚くべきことが発生しました。
それは徘徊中のキバネセセリの幼虫に対して何かのガ?の幼虫が襲いかかって食べ始めたのです。
「えっ?」と思う間もなくキバネセセリの幼虫は段々と身体がしぼんでゆきました。

何かの幼虫に襲われるキバネセセリの幼虫

やがて蛹化時期となり、それぞれの幼虫は三々五々に蛹となり又羽化し始めました。

ところで不思議なこととは一体何かと言えば、それはこのチョウの黄昏飛翔のことです。毎夕、午後5時頃から暗くなるまで、このチョウが飛び交っていることです。
家の玄関先に立って見ていると、1分間の間に必ずと言っていいほど1~2頭が特に決まった方向へという訳ではなく飛び去っていくのです。それが暗くなるまで続く。これは一体何の為か? 
そこで図鑑で調べてみると「北西にある藻岩山から上空を移動する個体を多数見た」(注)との記載はあったものの、その目的までは言及していませんでした。女史に言わせれば「街へ行くのよ、賑やかだから。。今は街中で見かける方が多いくらい」とのこと。果たして真相は?

(注)完本 北海道蝶類図鑑 永盛俊行他著 2016年 北海道大学出版会

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タテハチョウ科

エルタテハの巻

ブログを再開することにしました。
この間、紆余曲折はあったものの今は北海道在住です。
そしてp女史も一緒です。従い、文章の方は主として私が、写真の方は主としてp女史が担っています。相変わらずチョウが中心ですが、都度見かけたカミキリや、p女史がスマホにアップしていたガやカメムシなども取り上げていこうかと考えています。それでは、どうぞ宜しくお願い致します。

女史と家の付近を散歩していた時のことです。橋の欄干をひょこひょこ歩いている何かの幼虫が目にとまりました。見てすぐに「あっ、これはタテハの幼虫だ!」とわかりました。図鑑で何となく見た覚えがあったからでした。
近くを見てみるとハルニレの樹。それでてっきりシータテハの幼虫かと思い、捕獲して飼うことにしました。今までに見たことがなかったからです。
帰って調べてみるとシータテハではなくてエルタテハの幼虫でした。それまでエルタテハはシラカバやウダイカンバなどのカバノキ科を食っているものだと思っていたのですが、それに加えてハルニレも食っていたのでした。

その後、幼虫は飼育ビンに大量の糞をしてからフタの部分で蛹となり、やがて羽化しました。

エルタテハの蛹
6月22日
6月29日

その後、盛夏となりましたが一緒に沢山飛び交っていたヒオドシチョウは目に付きません。
しかしエルタテハを始めシータテハやクジャクチョウの方は元気そうでした。

エルタテハ
エルタテハ