キタスカシバ
ある種のカミキリを探しながらヤナギ類を見て回った時のことです。目指すカミキリはいませんでしたが代わりに根元の草に何か大きな蛾がいて、見つけた途端に「これはスカシバだ」とわかりました。見つけた当初は葉の上でじっとしていたのですが、いざ撮ろうとし始めるとブルブルと翅を震わせ始めたのでした。そして一回、シャッターを押した瞬間にヤナギの上の方へと飛び去ってしまったのです。
帰ってから本(注1)で調べてみると、どうもキタスカシバのようで
「日本産のスカシバガのなかで、もっとも大きいもののひとつで、なおかつ珍品であり、同好者の憧れの種であった」
「擬態する蛾 スカシバガ」有田 豊 他著 (有)むし社 2000年
との記載が見られました。ところがその後に
「フェロモン(注2)に飛来することが分かってからは、どこでも、誰にでもたくさん採れるようになり、一気に駄物と化してしまった」
「擬態する蛾 スカシバガ」有田 豊 他著 (有)むし社 2000年
とのこと。
「う~む、そうならもっときちんと撮るべきだったな」と思ったものでした。何故なら↑の個体はフェロモンとかではなく自然の状態で撮ったものだからです。
キタセスジスカシバ
アカマダラの幼虫を観察中に見つけたもので今度の相手は全く動きませんでした。カメラで近寄っても動く気配がなかったのです。気温が低かったからかもしれません。それで「帰りに女史への土産に持って帰るかな。。」などと考えていたのですが帰りに見てみると何処かへ飛び去ってしまった後でした。
これもなんという種かわかりませんでしたので(注1)の本で調べてみました。
するとセスジスカシバの項に
「北海道産は別亜種として区別されている。なお、北海道亜種にエゾセスジスカシバという和名が適用されていたが、別種と誤解されやすいので。。」
「擬態する蛾 スカシバガ」有田 豊 他著 (有)むし社 2000年
との記載が見られたのでした。そこで別の本(注3)で調べてみたところキタセスジスカシバ(明色型)と記載されていたのでした。
この種は幼虫の時には各種のイチゴを食べているらしいのですが野生のイチゴと言えば近くにナワシロイチゴが沢山生えていて、それを取ってきてジャムにしたのです。が。。地元の人は余り関心がないらしく、従い取り放題なのでした。
尚、他にはモモブトスカシバ を撮っていますが、この種については拙ブログ2022年8月19日付けをご覧下さい。
(注1) 「擬態する蛾 スカシバガ」有田 豊 他著 (有)むし社 2000年
(注2) 合成性フェロモン
(注3) 「北海道の蝶と蛾」堀 繁久 他著 北海道新聞社 2015年