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タテハチョウ科

アカマダラの幼虫だと思ったら

何かタテハっぽい幼虫を見つけたのはいつものように女史の方でした。
「この幼虫、何かチョウっぽい」と女史
「これは。。何だろう?」と私
「これはクジャクじゃないことははっきりしてる」と女史
「角が短いからアカマダラかな?」と私
「そうなら、嬉しいのだけど。。」と女史

そこでこれが何なのかを調べるために飼ってみることにしたのは、もうお盆を過ぎた頃でした。食草としてエゾイラクサとカラハナソウを入れておいたのですが、このカラハナソウも入れたのは件の幼虫がカラハナソウにいたからでした。が。。ちっとも食べない。

食べないどころか段々と小さくなってしまったのだ。「えっ?」とは思ったが、もともと成虫が小さいのだし、それに他の何かを食べるとしても、それが何かが皆目わからない。それで、そのまま放置しておいたのです。

ところが2~3日後に見てみると前よりも大きくなっていたのです。
飼育ビンの底には脱皮殻。

「何だ、脱皮の為だったんだ。。」

ただ一つ、不思議なことがありました。それは食草としてエゾイラクサとカラハナソウを入れておいたのは前述の通りですが、食べた痕をみてみるとカラハナソウにしか食べた痕が残っていなかったことです。

「何でだろう? この種もクジャクチョウと一緒でカラハナソウも食うのかな?」

その辺りを図鑑(注)で調べてみると、食草としてはエゾイラクサとホソバイラクサしか記載されていませんでした。

「ひょっとしてアカマダラじゃないかもしれない!?」

そう、思わせたのは食草のことだけではありませんでした。幼虫のサイズです。
一時は小さかった幼虫ですが、その後はモリモリと食草を食べて、すでに30mmを超えるに至りました。

「これはおかしい、じゃあ一体、何だろう?」

「チョウじゃないかもしれない」

そこで前述の図鑑で調べてみると、何とシータテハもカラハナソウを食べることがわかったのでした。
それまではシータテハというチョウはハルニレのような樹木だけを食べているものだと思い込んでいたのです。

これがシータテハだとすれば、このまま蛹化して秋型の成虫として羽化してくるはずですが果たして。。

8月29日撮影 モリモリと食べています
8月30日撮影 前蛹になりました
8月31日撮影 蛹になりました

それから9日後のことです。
羽化してきたのは期せずしてシータテハでした。

「えっ、アカマダラとシータテハの区別も出来ないの?」って思われるかもしれませんね。
でも、アカマダラの明色型の幼虫のことを思えば、今まで両種とも見たことがない者にとっては間違ってもおかしくはないでしょう。

このチョウの幼虫のことを今までは知らなかったので何か得した気分です。

9月9日撮影 無事に羽化しました

(注)完本 北海道蝶類図鑑 永盛俊行 他著 北海道大学出版会 2016年

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タテハチョウ科

カラハナソウとクジャクチョウ

このチョウの幼虫集団を見るのは実に久々で恐らく未だ高校生か中学生の時以来ですから50年以上は経っていました。当時は少し山へ入ると、このチョウの黒々とした若齢集団が目についたものでした。

が。。今でもそれは何ら変わっていないことがわかりました。近くの山へノコノコと行ってみると食草のエゾイラクサにこの幼虫集団がいてホッとしたものです。6月末のことでした。

6月25日撮影:第一世代の幼虫
7月7日撮影:同蛹 蛹化当初は緑色をしています。幼虫時代は真っ黒だったのに。。

さて、それから一ヶ月くらい後の話です。20頭以上が食草のエゾイラクサに陣取ってモリモリと食べていましたが、その辺りにエゾイラクサは一本しか生えておらず餌不足になるのは目に見えていました。
すると女史が存外、怖がりもせずに幼虫を一頭ずつ食草から引き離して近くのエゾイラクサへと移動させたのでした。女史曰く「何でかわからないけど、この幼虫には触れるの。他の毛虫はダメだけどね」

7月30日撮影:第2世代の幼虫

その辺りを一回りしてから前の地点へ戻ってみると、別々の葉にくっつけた幼虫は集団へと戻っていました。
やはり未だ集団の方が良かったのでしょう。

7月30日撮影

ところで↑とは別の場所へと移動中に「あれっ?」と思わさせる光景を目にしたのでした。
それはクジャクチョウの幼虫集団がイラクサ類ではない何か別のもの。。蔓性の何かを食べている光景でした。
「う~む、これは新知見かもしらんな。。」と思い写真を撮りまくりました。その上でその植物が何であるかを調べるために少し取って帰りました。

8月15日撮影
8月21日撮影
同上
同上

帰宅後に調べてみたら、どうもカラハナソウという植物であることがわかりました。蔓性であることや茎に短い棘のあることから、そう判断しました。このカラハナソウとはビールに用いるホップに近い種です。その辺りはウィキペディアに依れば。。

「ビールの苦味、香りの原料となるホップ(セイヨウカラハナソウ、Humulus lupulus )は、カラハナソウと近縁で別の変種とされる。本種の種子も齧るとホップと同様の苦味がある。」

ウィキペディア

このチョウがイラクサ類以外の食草を食べているとは全く知りませんでしたが、女史は「じゃあ、実がなったら採っりにこようよ」と言っていました。
一体、何の為に?

このカラハナソウという植物には雄株と雌株があるようで写真を見てみると、どうも雄らしい。。ってことは何れにしても実は期待出来そうもありません。

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カミキリ類

ルリボシカミキリの巻

ことの始まりはカラスと会話していたp女史でした。
カラスが「カァ、カァ、カァ」と鳴いたら、それに対して女史も「カァ、カァ、カァ」と続けるのである。それを繰り返していたら最後にはカラスの方が呆れてか、飛び去ったと言うのである。それを目で追っていたら飛んで行った方向にある樹に青いものが!

慌てて女史がその樹のもとへと駆けつけてみたら、そこにルリボシカミキリがいたと言うのだ。

ところで私がその騒ぎに気付いたのは女史が走り出した時のことでした。最初は意味がわからなかったのですがルリボシが目に入った瞬間に合点がいったという次第でした。

「嗚呼。。何年振りだろう?」

以前にこのカミキリを見たのは埼玉県の秩父で恐らく10年以上は経っていました。でも何度見ても、このカミキリの美しさは他に例えようもないほどで、まさにカミキリ界の女王としての輝きを持っていたのでした。女史の方は「全てはカラスのお陰ね。。」と言っていたのが可笑しかったものです。

7月17日撮影

その後、最初にルリボシを見つけた同じ樹には決まって、この種がいて交尾も見られました。
つい、少し前まで交尾まで見られるなんて思いもしませんでしたから最初にこの種を見かけた時と同じように何枚も何枚も撮ったものでした。

7月30日撮影

ところが久々にルリボシを見ることが出来て喜んだものの、その後は山へ行く毎に、この種を見る事になって、それは一ヶ月以上に及んだのでした。
当初は撮りまくっていたものの段々と撮るのに飽きて来て「せっかくだから撮るか。。」とシャッターを2~3回押しておしまいとなってしまったのでした。

8月15日撮影
同上

でもあの青色はいつまで経っても忘れることが出来ないでしょう。
その辺りを、かの福岡伸一博士は次のように述べられています。(注)「   」内引用

「もっともあこがれた青は、空の青さでもなく、海の青さでもなかった。フェルメール・ブルーでもない。それはルリボシカミキリの青だった。ビロードのような輝きをたたえた深い青。それは塗られた青ではなく、金属のように内部から放たれる青。こんな青はフェルメールだって作りだすことができない。その青の上に、くっきりとした漆黒の斑紋が散っている。長く優美に伸びる触角。そこにも青と黒が交互におかれている。あきるほど図鑑で眺め、ずっと恋い焦がれた。一度でいいから実物がみたい。何日も、何シーズンも野山をさまよった。しかしこの小さなカミキリムシを採集することはできなかった。」

(注)ルリボシカミキリの青 福岡伸一著 文藝春秋 2012年発行
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蛾類

イブキスズメの巻

オナガシジミを撮らんとしてp女史と共に朝から意気込んで裏山へと行ってみたのは8月6日のことでした。
けど残念乍らその姿を見ることはありませんでした。
が。。代わりにスズメガの一種を見つけたのでした。スズメガが草に鎮座していたのを見つけたのですが、草が被っていたのでそのままでは撮れません。
それで女史に「大丈夫だよ、草をどけても。。スズメガの仲間は昼間は飛ばないから」と言いました。それで女史が草をどけようとした途端に意外にも飛んだのでした。
それも猛然と凄いスピードで。。
しばらく辺りを周回した後で、見えてる辺りに着地しましたので、そこへ二人して駆けつけたら今度の方が撮りやすい場所だったので、これ幸いとばかりに撮りまくらせてもらったという一幕でした。

自宅の近くにて

帰ってから調べてみるとイブキスズメという、かなりの珍種。
ヤナギランやカワラマツバを食べているようでした。ヤナギランなら近くに自生はしているものの少ないので恐らくはカワラマツバを食べているのだろう。何れにしても珍しさという意味合いにおいては今年度の一番かもしれないが、どうせなら赤い後翅をもう少し上手く撮りたかったなぁ、と後から思うのでした。

でもネットに記載されている内容で一番、衝撃的だったのは「昼行性」でした。
「う~む、それで昼から、あんなに元気だったんだ。。」