カテゴリー
セセリチョウ科 蝶の不思議

キバネセセリの不思議

6月中旬のことです。
近くの山にはそれこそ夥しい数の何かの幼虫がいました。
一見したところセセリの幼虫に似ているのですが「キバネセセリにしては数が多過ぎるな?」と私は未だ半信半疑でした。
ところがp女史の方は何かの確信があったようで「これ全部、キバネセセリよ、顔つきがセセリじゃん」と言って譲りません。でもその何かの幼虫がキバネセセリだとした場合に食樹であるハリギリにいたわけではありません。そこら辺を、地面の上とか建物の壁や柱とか、その辺に生えている草の上とかを歩き回っていたのです。

近くに大きなハリギリの樹がありましたから「これ全部があそこから落ちてきたって考えるのは無理があるんじゃないかな?」と私は未だ半信半疑のままでした。

ところが後になって「あれは全部、キバネセセリだったんだ!」と考え直させるハメになったのでした。それはその内の2頭を持ち帰って飼育してみたからで、立派なキバネセセリが羽化してきたのでした。

キバネセセリの幼虫。女史がキバネセセリだと確信した理由はその顔つきがセセリそのものだったからでした。

全部キバネセセリだとしたら何故あんなに樹の下を徘徊していたのでしょう?
蛹化の為ばかりでは決してありません。何故なら中には若齢幼虫もいたし、それに持ち帰った幼虫も飼育ビンの中でモリモリと餌を食べたからです。

若齢幼虫

幼虫を観察中には驚くべきことが発生しました。
それは徘徊中のキバネセセリの幼虫に対して何かのガ?の幼虫が襲いかかって食べ始めたのです。
「えっ?」と思う間もなくキバネセセリの幼虫は段々と身体がしぼんでゆきました。

何かの幼虫に襲われるキバネセセリの幼虫

やがて蛹化時期となり、それぞれの幼虫は三々五々に蛹となり又羽化し始めました。

ところで不思議なこととは一体何かと言えば、それはこのチョウの黄昏飛翔のことです。毎夕、午後5時頃から暗くなるまで、このチョウが飛び交っていることです。
家の玄関先に立って見ていると、1分間の間に必ずと言っていいほど1~2頭が特に決まった方向へという訳ではなく飛び去っていくのです。それが暗くなるまで続く。これは一体何の為か? 
そこで図鑑で調べてみると「北西にある藻岩山から上空を移動する個体を多数見た」(注)との記載はあったものの、その目的までは言及していませんでした。女史に言わせれば「街へ行くのよ、賑やかだから。。今は街中で見かける方が多いくらい」とのこと。果たして真相は?

(注)完本 北海道蝶類図鑑 永盛俊行他著 2016年 北海道大学出版会

作成者: clossiana

1950年生。北海道育ち。
大学進学で上京。そしてそのまま就職。
子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。
こまったものだ。
蝶や昆虫の観察記録や思い出など。このブログは殆ど何の役にも立ちませんのでそのおつもりで。
2022年からは北海道在住。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です